2025-04-23
ザ・ノース・フェイス・コリアを安定運用してきた秘訣は?WhaTap導入企業を取材
会社名
STCOMM
業界
IT
ウェブサイト
www.stcomm.kr
正直に言うと、導入当時はオープンソースツールを活用して自社でモニタリングシステムを構築できないかとテストしたこともありました。しかし、UIやデータの可視化の面ではWhaTapほど満足できませんでした。特に、WhaTapのヒートマップは非常に直感的で気に入っており、現在でも頻繁に確認しながら活用しています。
Gwangjo Jeong
IT Operations Team Lead

デジタルトランスフォーメーションが加速する中、ユーザー体験は今や全ての企業にとって競争力の核心的要素となっています。特にEコマース業界では、安定したサービスの提供と迅速な問題対応が成功へのカギとなっています。

今回取材する韓国企業のSTCOMM(エスティ・コム)は、Eコマースプラットフォームの構築と運用を専門とし、顧客企業が売上だけに集中できるようIT運用全般を担っています。THE NORTH FACE、VANS、Timberlandなど、大手ブランドのWeb、アプリプラットフォームの運用を担当しており、大量のトラフィックが発生するEコマース企業の効率的なIT運用のために、IT統合モニタリングツールであるWhaTapを積極的に活用しています。

WhaTapの取材チームは、STCOMMでインフラ部門をリードしているチョン・グァンジョ部長にお会いし、WhaTapを導入してから運用環境にどのような変化があったのか、それによって実際にどんな成果が得られたかについて詳しくお話を伺いました。モニタリングツールのWhaTapが実質的なIT運用の改善にどのように貢献しているのか、現場の声を一緒に聴いてみましょう。

企業紹介:Eコマースブランド向けのIT運用を担う「STCOMM」

チョン・グァンジョ部長、こんにちは。自己紹介をお願いします。

STCOMMでインフラとDevOps業務を担当しているチョン・グァンジョです。STCOMMに転職して約5年になり、これまで全般的なインフラ運用を担当してきました。私が入社した当初はインフラ組織がなく、IT運用も外部委託企業に依存している状況でしたが、徐々にシステムを直接自ら管理し始めて、自然にモニタリングの重要性も高まっていきました。その過程でWhaTapを導入することになりました。現在まで5年間活用しており、安定したサービス運用に大きく役立っています。

 STCOMM社のチョン・グァンジョ部長のインタビュー写真
 STCOMM社のチョン・グァンジョ部長のインタビュー写真

STCOMMはどのようなビジネスを展開している企業ですか?

STCOMMは、EコマースブランドのWebやモバイルプラットフォームの運用から配送システム (WMS)、会員管理 (PRM)、クラウドインフラまで、IT運用全般を担当している企業です。韓国内のTHE NORTH FACE、VANS、Timberlandなどの主要ブランドのオンラインプラットフォームを運用しており、最近では大手企業の系列会社のAIセンターと新規プロジェクトも始めました。ブランド側が売上の成長だけに集中できるよう、IT基盤の運用は弊社STCOMMが総合的に管理する構造だと捉えていただければと思います。

韓国内のTHE NORTH FACE、VANS、Timberlandなど、コマースブランドのWebやアプリプラットフォーム運用を担当するSTCOMM
韓国内のTHE NORTH FACE、VANS、Timberlandなど、コマースブランドのWebやアプリプラットフォーム運用を担当するSTCOMM

導入背景:コスト、機能、サポート面において優れていたWhaTap

STCOMMに入ってきてインフラ組織を立ち上げる際にWhaTapを使い始めたのでしょうか?

はい、そうです。もう少し正確に言うと、当社が既存の運用代行企業で運用していたシステムを移管する過程で、WhaTapも自然な流れで導入することになりました。当時、その運用企業ではすでにWhaTapを使用しており、私自身もLotteEコマース在職時代にWhaTapを使用した経験があったため、ある程度製品に対する信頼感がありました。

ただ、当時のシステム移管の過程では、ひょっとするとシステムが放置されたり、きちんと活用されなかったりする可能性もありましたが、WhaTapのCSM (Customer Success Management) 担当者の方々が直接訪問して、トレーニングとコンサルティングを行ってくれたおかげで、その後はうまく活用できるようになりました。現在、我々はWhaTapのAPM(アプリケーション監視)、DPM(データベース監視)、SMS(サーバー監視)、URLモニタリングを使用しています。

導入当時、他のモニタリングツールも併せて検討していたと聞きました。

はい、そうです。実は、移管した時期に他のソリューションも同時に検討を進めました。いくつかのグローバルツールの場合、機能は非常に豊富だったのですが、当社としてはむしろ過剰に感じられて、何よりコスト面でのハードルが高く、最終的に適していないと判断しました。

一方で、WhaTapは、直感的なUIや各種サードパーティーシステムとの連携、そして何よりもきめ細かく手厚いサポートが決め手となりました。そのおかげで、導入から5年間継続的にうまく活用することができました。

問題解決:構造的な限界を超え、リアルタイムで体系的なモニタリングへ

WhaTapを使用する前に、どのような技術的または運用上の課題がありましたか?

WhaTapを導入する前、我がチームが直面していた最大の課題は、障害発生時に原因把握が遅く、それに伴って対応時間が長引いてしまうという「構造的な限界」でした。アプリケーションとインフラの両方で発生し得る問題を、素早く検知して対応できるシステムが不十分だったのです。そのため運用上の負担は大きくならざるを得ませんでした。

特に、トラフィックが集中するイベント時には、それによって発生する遅延 (delay) がブランドへの信頼に直結するリスクとして働きました。このような技術的問題が重なる一方で、それらを解決するための運用人員は限られている状況でした。 

Eコマースプラットフォームの特性上、同時接続者数やトランザクションの流れ、リソース使用量などをリアルタイムで把握できる構造が必要でしたが、当時はそれらを体系的にモニタリングできるツールがありませんでした。弊社のインフラ担当者が障害発生後に手作業でログを照会し、個別サーバーを直接再起動する方法で対応していました。今考えてみると、当時は運用上の負担がとても大きく、皆が苦労していました。

運用上の負担や構造的な限界を、WhaTapでどのように解決しましたか?

WhaTapを導入してから本格的に運用効率化を進めることができました。

まず、リアルタイム通知機能をSlackと連携させ、問題発生時には即時に通知が届くようにしました。さらに、Webhookを活用してSlackbotと連携する自動化システムも構築しました。現在は、WhaTapからの通知をSlackに送信すると、Slackbotがこれを認識してAWSにコマンドを実行する形で運用しています。

WhaTapとSlackを連携してAWSにコマンドを実行する形を構築
WhaTapとSlackを連携してAWSにコマンドを実行する形を構築

以前は、スレッドの飽和などの問題が発生した際に、直接サーバーに接続して手作業で対応しなければならなかったのですが、今は設定した条件が満たされれば、システムが自動的にサーバーを再起動し、Slackを通じて対応結果まで確認できる体制が整えられています。そのおかげで、繰り返される手作業(Toil)を減らし、運用上の負担を大幅に軽減できました。

また、単に「即時に通知を受け取る」ことにとどまらず、WhaTapを活用してインフラやアプリケーションを定量的に改善しています。例えば、イベント期間中に同時接続者数が急増した場合、それをリアルタイムでモニタリングでき、メモリ使用量やCPU負荷の推移に基づいてスケーリングのタイミングを予測。リソースを弾力的に運用できるようになりました。そのおかげで、不要なオーバープロビジョニングを防ぎながら、コスト削減の効果も得られています。

また、当社の顧客企業からは、イベントシーズンになると、サーバーの状態やトラフィックの推移に関するリクエストをよくいただくのですが、WhaTapのダッシュボードからリアルタイムなCPU、メモリ、同時接続者数のデータをすぐに抽出して対応しています。そうすることで、顧客企業にもご満足いただいているようです。

WhaTapのダッシュボードでリアルタイムに確認できるCPU、メモリ、同時接続ユーザー数のデータ
WhaTapのダッシュボードでリアルタイムに確認できるCPU、メモリ、同時接続ユーザー数のデータ

WhaTapを導入してから、定性的な側面でも開発メンバーの認識が高くなったといえると思います。アラート通知を確認するだけではなく、トランザクション観点からアプリケーションの改善ポイントを自ら見つけ出すようになってきました。開発メンバー全員がWhaTapのトレーニングにも積極的に参加しており、最近はメソッド単位のモニタリングも計画しています。今後は、より細分化されたモニタリングシステムを構築し、運用効率性とサービス品質を共に向上させていけるように準備していく予定です。

STCOMMで表示したWhaTapのダッシュボード画面
STCOMMで表示したWhaTapのダッシュボード画面

問題解決の過程で、WhaTapのどのような機能が役立ち、よく活用されていますか?

WhaTapのアラート通知機能と共に、ヒットマップやトランザクション統計の機能もよく活用しています。問題が発生した際にすぐに検知でき、統計データに基づいてエラーが頻繁に発生する箇所を追跡して、原因を迅速に把握することができます。リアルタイム同時接続者数のデータは提出するよう顧客企業からよく言われていますが、このデータがスケーリングの判断にも役立っています。

WhaTapを導入する前には、オープンソースツールを活用して自らモニタリングシステムを構築してみようとテストを実施したこともありました。しかし、UIやデータ視覚化の面でWhaTapほど満足できませんでした。特に、WhaTapのヒットマップの直感的な点が気に入っており、今もよく確認しながら活用しています。

問題発生時にトランザクション観点からすぐに検知できるWhaTapのヒットマップ画面
問題発生時にトランザクション観点からすぐに検知できるWhaTapのヒットマップ画面


📌 WhaTapによる問題解決の要約

  • STCOMMは、障害の原因把握に時間がかかり、運用上の負担が大きいという「構造的な限界」に直面していた。
  • 導入後は、1)Slack連携による自動化、2)リアルタイム指標に基づく対応、3)トラフィック予測により運用効率化とコスト削減効果を実現。
  • ヒットマップやトランザクション統計などの機能を使って定量分析やアプリケーション改善まで可能になった。

今後の戦略:EC2からKubernetesへ、インフラ移行に合わせたWhaTapの拡大

今後、WhaTapを拡大して使用する計画だと聞きました。

2025年下半期、当社は既存のAWS EC2環境のインフラからKubernetes環境への漸進的な移行を計画しています。まず、インフラをコンテナ環境に移行。その後、アプリケーションを順次マイクロサービスアーキテクチャ(MSA)へ移行する方法で進めます。WhaTapは、すでにKubernetes環境に最適化されたモニタリング機能を備えているため、PoC(概念実証)段階から適用して安定的に拡大していく予定です。

WhaTapのKubernetesモニタリング画面の例
WhaTapのKubernetesモニタリング画面の例

これとともに、顧客企業のリクエストに応じて、URL呼び出しの分布、流入チャネル、同時接続者数の推移など、ブランド別カスタムレポートの自動化も検討しています。WhaTapの柔軟なダッシュボード構成とAPI連携機能を活用すれば、レポートの品質だけでなく、作成効率まで大きく向上させることができると期待しています。

最後の質問です。WhaTapはどのような企業に適していると思いますか?

運用の非効率や技術的な負債で苦労している企業であれば、WhaTapは体系的な問題認識と改善の出発点になると思います。単なるモニタリングを越えて、「リアルタイム通知 → 対応自動化 → データに基づく分析 → コード改善 → 運用効率化」という流れが体験でき、その効果を実感しています

チョン部長とのインタビューを通じて、STCOMM社がWhaTapを単にモニタリングツールとしてではなく、運用効率化とサービス品質改善のための核心的なプラットフォームとして活用していることを確認できました。リアルタイムモニタリングから自動化、分析、改善に至るまで運用の全サイクルを体系化。顧客企業がビジネスにより集中できる環境を提供しています。急速に変化するEコマース業界において、STCOMM社はIT運用を競争力へと転換した代表的な事例です。

STCOMM社のチョン部長のインタビュー写真
STCOMM社のチョン部長のインタビュー写真
最先端の企業から選ばれたオブザーバビリティプラットフォームWhaTap、
今すぐ体験してください。